mmorio7’s diary

少しだけ寄ってみませんか

どちらにしても自分の意見

"コイツ"と出会ったのはいつ頃だろう。

物心ついた時には、僕の心に住み着いていたようでいつも自分の頭の中で正論を語ってくる。

いや、正論ではなくて嫌味というのだろう。そして、いつものように思い悩んだ思考の隙間からすぐに現れてくる。

 

『お前はいつもそうやって相手を見下している。まるで自分が能力があって、他より秀でてコイツよりからマシだろう…なんて小さい安定を求めている笑笑』

 

「…うるさい」

 

図星だった。

学歴も親コンプも、低に分類していたし運動神経だって並。そして、勉強なんて勝負にすらならないほど能力値で、自分の思い込みや軽口であたかも自分が出来るように見せていた。

 

『分かっているだろ、自分自身は別に選ばれているわけでもないし何なら、上位互換が山のようにいる。さっきまで同じ立ち位置にいたと思っていた相手だって、いつの間にか少し前を歩いていることを。社会人生活を2年も過ごしていれば、察することが出来るはずだ』

 

「それは、分かっているさ。

けれど…そうでもしていないと自分が何も出来ない無能なんだと実感するんだ。それが怖いんだ…」

 

そんなボロなんて、日が経てば嘘だとバレる。相手の温情で伝えないだけであって、もうとっくに能力値なんて透かされているかもしれない。

 

『そんなの、自分で蒔いた種だろ。しっかりと収穫して、それ相応の評価を受けろよ。何もせず、下からずっっーと眺めているだけで誰かが落ちてくるのを待ってるだけの人間には何にもいい事は降ってこないんだよ』

 

…それもそうだな、この妬みや僻みも自分で蒔いた種だ。彼らを下に見る権利すら僕には無い。

努力していない怠慢な自分への正当な報いだと思う。

 

『けれど、そんなお前のことを好いている人がいることを忘れるなよ。お前は能力はない、けれど人一倍の優しさを持っている。そんな能力がある事を忘れるなよ』

 

周りを見渡しても"アイツ"はもういなかった。